捻くれ肴

2001年8月12日生まれ 女性

自己理解

PayPay

最近、PayPayを始めた。性別を編集しようとした時、「登録」ではなく「設定」とあった。何か現代的な響きを感じた。 一昔前なら「登録」だっただろう。それはただ情報を投げ込むだけの行為で、自分の意思などどこにもない。しかし、「設定」とは、自ら選び決…

不審者

昔、桜が満開の公園で遊んでいた時、酔っ払った一人のおじさんが私に近寄ってきた。住所を訊ねられ、当時小学生だった私は戸惑ったが、一緒にいた女の子はあっさりと私の住んでいるマンションを教えてしまった。慌てた私は「それ以上言わないで」と彼女を止…

社会

朝、目覚めとともに襲いかかる重圧。それは、ただの目覚めではなく、何か決定的な敗北を告げる瞬間だ。目を開けると、まず感じるのは、入浴がまだ済んでいないという現実への落胆。疲れ切った体が、再び布団の中に沈み込みたいと叫んでいる。それでも何とか…

味覚

感情が味覚に直結する──それはまるで、自分の心の動きが口の中で再現されているかのような、不思議な感覚だ。 熱が出ると、その体温の上昇だけではなく、口内にじわじわと広がる微妙な苦味が感じられる。それは辛いものを食べたときの外からの刺激とは異なり…

理科ができない、と言いつつも、その疑問の根源には理科が教えてくれる以上のものが潜んでいるように思える。科学が提供するのは、事実や法則の説明にすぎない。しかし、そこにあるのは冷たいデータや数値だけではない。その背後に広がるのは、人類がまだ完…

想像力

ニコニコした穏やかな人がメインで写っている動画が荒れていると、その人があとで悲しんで泣いている姿を想像して耐えきれなくなる。 これは、私のひん曲がった想像力が生み出す光景だ。笑顔の裏にあるかもしれない悲しみを勝手に思い描いてしまうのは、どう…

痛み

痛みというものは、単なる生理的な反応ではない。それは心の深い部分に影響を与え、私たちの存在そのものを揺るがすものである。 生きている限り、私たちの身体は痛みと切り離せない。痛みを感じることで、自分が生きていると実感することもある。しかし、そ…

生きる

生きるとは、いったい何なのだろうか。 時折、私はただの傍観者であり、他人の人生をぼんやりと眺めているだけなのではないかと感じる。何をしても、どこか空虚な気持ちがまとわりついていて、見えるものも感じるものも、それが本当に自分の心に響いているの…

自由

自由は、冒険なのかもしれない。自分が守られる環境がないからこそ、その一歩一歩が未知の領域に踏み出す勇気と覚悟を試される。 守られる環境がないということは、自分の選択と行動がすべての責任を負うことを意味する。誰かに守られている安心感から解放さ…

2月6日というと、年の瀬に立てた1年の目標を忘れる頃だ。年明けの清々しさや、少しばかりの希望も、今日を境に薄れていく。新しい目標を掲げたのも、ただの儀式のように過ぎ去り、気づけばいつもの毎日が戻ってくる。そんなことを思いながら、ふと外に目を向…

冷温

心がほかほかした状態のまま息を引き取ったら、身体も温もりをもったままであってほしい。もし、ほかほかが保たれるのであれば、遺された者が逝った者に触れた時の寂しさが少し和らぐのではないかと思った。 だけど、逝った者の心が、冷蔵庫の中のように冷た…

挙動不審

緊張していないのに「緊張しなくて良いですよ〜」と言われると、自分の挙動不審さを改めて自覚してしまう。それと同時に、こう言われると、他の人は言われた通りに緊張を取りやめられるほど器用なのかと疑問に思う。 しかし、実際には相手はただ緊張している…

古傷を抉る

私を傷つけた人が何事もなかったかのように日々を過ごし、後悔や罪悪感に苛まれることもなく生き続けると思うと、そのことがどうしようもなく辛いことがある。常にこんなことを考えているわけではないが、なにかの拍子にヒョイっとやってくる。 彼らにとって…